株式会社ネバーラ北関東支社 ~ネバーランドへ、ようこそ~
「ハヴァナイスデイ」
「わたしは毎日、七時五十分のバスに乗る。
遅れるわけにはいかない。なぜなら、これを逃すと次のバスは八時五十分までやってこないからだ。」
東京でバリバリのキャリアウーマンとして過ごした弥生がいかに田舎にやってきたかがわかる。
「ハヴァナイスデイ」
この課長の言葉から、戦場のような職場からのんびりした職場にやってきたことがよくわかる。
「納豆は今や国民食ですから」
うん、転居先はI県M市周辺であろうことも容易に想像がつく。
「夢の国、ネバーランドの略なんです」
そんな、ネバーランドでの生活を始めた弥生。
誕生日をお互いに祝い合う風潮もある優しい会社。
のんびりした課長を中心に5人からなる経営企画部。
大阪はミナミからやってきた桃子さんが切り盛りする居酒屋「なにわ」。
まさに、ゆるい生活。
そんな日常も、支社を売り払って取引先に売ってしまおうという計画があるという噂によって騒がしいものになってしまう。
「本気を出して失敗したらかっこ悪いと思ってるんでしょう?
負けるのが恥ずかしいから、初めから頑張ろうとしないんでしょう?」
そんな弥生が選ぶ道、進む道は?
この物語のフックはずばり「転職」「回復」「東京」である。
「転職」……キャリアアップ、成長のきっかけというイメージが付きまとう言葉であるが、この物語ではゆる~く働く場所を探すという目的になっている。珍しいことだと思うし、「こんな生き方もありかな?」と思わせてくれる。
「回復」……自分の人生が手に負えなくなったときに休む場所、そんなネバーランドはちょっと癖はありつつも優しい人達によって作られているのだ。こんなネバーランドを自分も作れるかな?見つけられるかな?と思わせてくれる。
「東京」……ある人にとっては、あこがれの場所。ある人にとっては、疲弊させられる場所。ある人にとっては、闘うべき場所。自分にとっての東京は?考えさせられる。
余談だが、私は学生時代を田舎で過ごしたが都会に就職した。
そしていろいろあって都会から田舎への転職を経験した。
いわゆる大企業と呼ばれるところで働いて疲弊して、結局企業規模は少し小さくなったが独自の風土が強い企業に属している。
逃げても逃げても疲弊と闘いの日々・・・・・・というと大げさだが「わたしのネバーランド」は見つけられていない。
私にも、ネバーランドは見つけられるのか。
私にも、ネバーランドは作れるのか。
ネバーランドにたどり着いたとき、
ネバーランドの一員になれたとき、
私は言うのだろう。
「ハヴァナイスデイ」